ミニピンがくれたトイプードルとのご縁

虹の橋に旅立ったミニピンのりゅうがトイプードルのクッキーちゃんとのご縁をつないでくれました。

愛犬のぬいぐるみに癒される母と娘

ミニピンのりゅうは、生前、ミニチュアピンシャーのぬいぐるみをお供にしていました。

例えば、こんな風に。

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自分の寝床に連れて行って、同じ格好でくつろいでいます(笑)

愛犬のぬいぐるみを手作りする

りゅうがまだ幼犬のころは、市販のぬいぐるみを買っていました。タオル地で作られたニンジンとかふわふわの真っ白いクマちゃんとかね。

そのうちに、妹がミニピンのぬいぐるみを作ってくれるようになったんです。

市販のぬいぐるみは、柔らかいワタが詰まっているものが多いですよね。りゅうは、ぬいぐるみを咥えて振り回したり、かじって中身をほじくりだしてしまっていました。

ふわふわのワタが口に入るのはよくないですし、取り上げようとすると、飲み込もうとすることもあったので、中身が出にくいぬいぐるみを妹が作ってくれたんです。

そんなわけで、我が家には、ミニピンもどきのぬいぐるみがあちこちに散らばっていました。

愛犬をモデルに

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さて、上の写真には、何匹のミニピンがいるでしょう?

おすまししているりゅうの隣で、同じようにすましている子。りゅうのあたりで仰向けになっている子。よく見ると、りゅうの右耳の後ろにも一匹いますね。

ここに写っているのは割と大き目のものばかりですが、ちっちゃくてかわいいのもありました。

ちなみに、最初の写真と2枚目のりゅうの隣にいるぬいぐるみのモデルは、こちらのりゅうです。このカッパさんの洋服も妹の手作りなんですよ。

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どういう手順で作るのか、お裁縫が苦手な私にはサッパリわかりませんけれど、彼女はりゅうの服もぬいぐるみも、ユニークなものをたくさん作ってくれました。

ペットロスと愛犬のぬいぐるみ

ある日のことです。私は妹にお願いしました。「ごん太のぬいぐるみも作って」と。ごん太というのは、我が家で初めて飼った愛犬です。茶色の雑種でした。

作ってくれるとのことだったので、小さいものではなくて、少し大きめのサイズをリクエストしました。

なぜ、ごん太のぬいぐるみが欲しかったのか。今考えてみると、ごん太への想いが消化しきれていなかったんだろうなぁと思います。

ごん太のぬいぐるみを枕元に

作ってもらったぬいぐるみを、私は枕元に置きました。昔、ごん太と一緒にお昼寝したときのように。

そして、つぶやくのです。「ごめんね……」と。

甘えん坊のりゅう

りゅうはお留守番ができない子になってしまったので、常に誰かが一緒にいるようにしていました。法事のときでさえ、私は家に残っていましたし。近くの斎場で親戚のお葬式があったときも、私一人、食事をせずに走って家に帰ったくらいです。

久しぶりに再会した従姉と話をしている途中で、母に「そろそろ、りゅうが心配やから。悪いけど、あんた、帰ってあげてくれる?」と言われて、ダッシュで家に戻りました。従姉が「えー、もう帰んの?」と、ちょっと驚いていたのを覚えています。

ほんと、過保護もいいとこですね。

我慢強いごん太

でも、ごん太にはお留守番ばかりさせてしまっていました。

近所の方に、こんなことを言われたことがあります。「ごんちゃん、いつも窓からお外見てるねぇ」

ごん太は中型犬なので、自分で障子を開けることができたんですね。前足でクイクイッとして隙間をつくってから、その隙間に鼻先を入れて、グイッと上手に開けていました。

「きっと、お外に行きたかったんだろうな……」

「ずっと家の中にいて、退屈だったんだろうな……」

「中型犬なんだから、もっとたくさん走らせてあげればよかった」

元々、ごん太は、犬を飼いたがっていた妹がもらってきた犬なんです。ある日、学校から帰ってくると、茶色の子犬が家の中をチョコチョコ歩いていたので、「えぇっ!」とビックリ仰天でした。

ところが、妹は早々に、ごん太のお世話を放棄してしまったんです。父親に散歩係を押しつけて。父が散歩できないときは、母や私がフォローするという形で過ごしていました。

犬の飼い方がよくわからないうえに、今のようにインターネットでチャチャッと検索することができない時代だったこともあり、ごん太にはいろんな不満があったのではないかと反省しています。

だけど、ごん太は賢くて、我慢強くて。私が落ち込んでいると、そっと寄ってきて、黙って側にいてくれるような優しいワンコでした。

そんなごん太ともう一度話したくて、ぬいぐるみを枕元に置いたのです。そして、毎晩、一緒に寝ていました。頭をなでたり、前足を握ったりしながら。

ある晩、寝ている間にギューッと抱きしめてしまっていたらしく、ごん太の顔がひどく歪んでしまいました。

ごん太がいなくなった後に我が家にやってきたりゅう。りゅうを見送ってから4年目の夏を迎えた今も、ごん太のぬいぐるみは私の枕元にいるのです。

愛犬を亡くした母の喪失感

ミニピンのりゅうは、母のお布団で一緒に寝ていました。

りゅうを亡くした母は、普段では考えられないような行動をとったりして、かなりショックを受けている様子でした。

いつも隣で眠っていた愛犬がいない……。

このとてつもない喪失感は、痛いほどわかります。私もすごく苦しみましたが、母はもっと辛かったでしょうね。りゅうは、かなりのお母ちゃんっ子でしたし。

妹が作ってくれたミニピンのぬいぐるみ。りゅうに渡さずにいたのがまだ残っていたんですね。私はそれを黙って母の枕元に置いておきました。

翌朝、「りゅうと一緒に寝た?」と聞いてみると、母は「あはは」と笑っていました。それからしばらくの間、母の枕元にはちっちゃいミニピンのぬいぐるみがいました。枕にちょこんと頭を乗せて。りゅうがいつもそうしていたように。

どれくらい経ったころだったかな。そのちっちゃいミニピンのぬいぐるみが、テーブルの上に大事に飾ってあるのに気づきました。

「あぁ、もう大丈夫なんだな」そう、実感しました。

もう、同じ枕で眠ることはありませんけれど、ちっちゃいミニピンのぬいぐるみは、母の部屋で母を見守ってくれています。